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iPad2購入に際しての
アメリカ人と行列に関する調査。
そして少しの愚痴

 文と写真=塩見 智

 

いち早くiPad2を入手した本当の理由

すべての日本人がこの先ずっと忘れられない悲劇に見舞われた(もちろんその悲劇は今も継続している)3月11日。時間的にはそのほぼ1日後にあたる米国の同日。僕はLAからクルマで1時間弱東へ走ったところに位置するブレアという街のショッピングモールにいた。どこにでもありそうな街の、どこにでもありそうなモール。そこにアップルストアがあるのだ。別に店舗はアップルお膝元のサンフランシスコでもロサンゼルスでもよかったのだが、今回のターゲットは話題のiPad2。あまり大都市の店舗を攻めて在庫切れに見舞われてはかなわない。かといってあまりに田舎の店舗へ行くとそもそもの入荷が少ない可能性もある。多少土地勘のある、ほどほどの都市の店舗を攻めるという作戦だ。iPad2をいち早く手に入れようと、そのためだけにマイルを使って渡航した。なぜわざわざそんなに急いで手に入れようとしたか。当時、iPad用デジタルカーマガジンを刊行していたため(過去形!)、新型で誌面を表示させた際に不具合が出ないどうか確かめる必要があった……というのが理由その1。これまで使ってきたiPad1同様、日本未発売のSIMフリー3G版が欲しかったというのがその2。理由その3にして本音のところは、早く欲しかった、白いiPadが。結果的には延期されたが、日本での発売予定はその月の25日。だから早く持ち帰って西武池袋線でこれみよがしに広げ、周囲から「おっ」とか「新型だ」などと聞こえるか聞こえないかの声で言われたかったのだ。

 

昨年に引き続きiPad購入のためだけに渡米(写真は“渡米”のイメージです)

1年前、iPad1を買った西海岸にて再び

発売当日、午後5時に全米中のAppleのリテールストアでiPad2が発売となるとあらかじめ聞いていたので、4時頃行けばよいかと思ったが、早めに行って雰囲気を楽しもう、アメリカ人に交じって発売に際し「イェーイ」とか言おうとたくらんで、昼にガーデナのホテルを出た。日本から持参したガーミンをレンタカーのマスタングにセットし、せっかくだからトップを降ろしてフリーウェイを流す。知ってる人は知ってるが、フリーウェイは道が荒れている。リアがリジッドの屋根開きマスタングはギャップを乗り越える度、ブルルン、ブルルンとクルマ全体を揺らすが、だから何? ひたすら真っ直ぐだからまったくもってOK。サテライトラジオからはお経みたいなBaby Bashの『Go Girl』(←ホントにお経みたいだからググってみて!)。おっと今回はiPad購入記だ。陽気な西海岸ドライブ編は後日アップする別記事にて。

 

「余裕こいてビバリーヒルズ経由したりする」の図

アメリカ人は行列なんて嫌いだと思ってた

アメリカ人は、日本人みたいにモノを買うのにわざわざ行列をつくったりしない。どうしてこういう先入観をもったのだろうか。確かに今考えると根拠がないが、勝手にそんな印象を抱いていた。だが実際には、すでに長蛇の列。発売まであと5時間もあるのに巨大モールの外まで列が続いている。ラーメン二郎も全米展開すべきじゃないのか。今日、買えるのだろうか? むちゃくちゃ不安になりながらも最後尾のイチャイチャ白人カップルの後ろに並ぶ。……にしても暇。午後3時、どうでもいい荷物を置いて一時的に列を離れ、列の先頭、つまりアップルストア入り口の様子を伺うと、通常営業をいったん打ち切り、ブラインドが下げられるところだった。店内をiPad2販売体制に整えるためだとか。気分は盛り上がるが、あらためて列の長さにビビる。帰りに100人くらいまで数えてみたが、途中で心が折れた。が、数えた分の長さを当てはめていくと少なくとも400人は並んでいた。ブレアはアップルのヘッドクォーターのあるカリフォルニア州の、大都市LAに近い、そして富裕層も多い土地柄ではあるが、いち店舗にそんなに在庫を備えているだろうか。自分の位置に戻って振り返ってみると、これまで見てきたほどの人の列が、後ろにもできていた。

 

アメリカの多少オタクっぽい人を含む行列

「 ノーモアAT&T 、ノーモアホワイト 」

そして午後5時。いよいよ列が動きだす。あちこちで指笛の音が聞こえる。仲間がいたら僕もやったのに。けれども、アメリカ、というよりも日本以外での店員のてきぱき具合を考えれば想像にかたくないのだが、その進み方は実にゆっくり。のろのろと1時間半くらい歩いただろうか、ようやく僕の番となった。「AT&T(米国では3G版のキャリアは2種類ある)、white、32GB」と要望を伝えると、タトゥーバリバリのジーニアス(アップルストアでの店員の呼び名)は「No more AT&T、No more white」と笑顔で宣告する。5時間+1時間半……というか10時間かけて飛行機で……西武線でのドヤ顔は……。手ぶらで帰るのはあまりにも悔しかったので、まだ残っていた黒のWi-Fi版と通称“お風呂のふた”カバーを購入した。無理と思いつつもそこからクルマを30分ほど飛ばしてコスタメサ店にも行ってみたが、発売後3時間たっても、まだ行列が……。翌日、今度は朝早くLAX近くのマンハッタンビーチの店舗へ行ってみたが、早くも行列。アメリカ人、めっちゃ並ぶやん! 即座に米在住の知人にオンラインストアで白いAT&T版の代理購入をお願いした。

 

iPad2発売後の店内。客も多いが店員も多い!

iPad1とiPad2をクルマに例えると←結構無理やり

iPad2は既に各種サイトで紹介されている通り、iPad1に比べ、さまざまな点で性能が向上している。まず80gほど軽い。そして薄い(13.4mm→8.8mm)。ディスプレイの大きさ、解像度は同じだが、2の方が鮮明に見えるのは贔屓目か。プロセッサがA4からA5(デュアルコア)へと進化しているほか、正式な発表はないもののメモリが256MBから512MBへと倍増しているらしく、Safariでの表示などは確かに速い。そしてマルチタスクでどんどんアプリを渡り歩いても反応がもたつくことがない。が、今日まで1カ月半ほど使ってみて、僕に言わせれば、あくまでマイナーチェンジの域を出ない。クルマでいうと、AMG63シリーズの6.2リットルNAエンジンが5.5リットルターボエンジンに変更になったような感じ。つまり、相当よくなっているが、見た目はそんなに変わっておらず、慌てて買い換えるほどのものかと感じさせる。ただし、AMGの場合は「フィーリングの面でマイナーチェンジ前の方が好きだ」という人がいても理解できるが、iPadの場合、味もへったくれもなく、2の方がただひたすら高性能だ。したがって2を体験したら1に戻れないのも事実。2つのカメラはマストアイテムだとは思わないが、本体は軽く薄くなって失っているものはないので、あればあったでよい。

 

西武線車内でヒーローのはずが……

と、あの日以来、iPad2を西武池袋線に持ち込んでいるが、反応がない。2に見えない黒だからかな。そう思って最近は後日届いた白を持ち込むも、まぁ無反応。みんな無理しちゃってさ! いや本当に注目を集めない。白い縁が見えるように自分が見づらくても画面を周囲に向けた角度で広げたり、風呂ぶたカバーを、電車が揺れてもないのにぶらぶらさせてみたりするのだが、ダメ。挙句の果てには、縁が白いから反射しちゃって眩しいんだよな的な表情をしてみるのだが、忙しい都会人は見向きもしてくれない。もしかして乗客が全員埼玉の人で、iPadを知らないのかな? 実際には、このあたりもiPad用コンテンツ商売の難しさを証明しているのだろう。Twitterではそこそこ話題になったんだけどな、Bagnole……。ま、タイムライン上の意見が世の趨勢かと思いきや、午後8時1秒に現職都知事の当確が出るんだから、やれ時代はソーシャルだとか、タブレット端末だとか、アンドロイドだとかいうのは、社会のほんの一部の出来事なんだよな。と、まさかの愚痴オチで購入記を終了したい。

 

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